こんにちわ!放射線技師ブロガーのカロン@muscle_radioです。
腹部レントゲンの回で、立位で腹部を撮影する目的はフリーエアーを見つけることが第一の目的であることを書きました
この回では、レントゲンでのフリーエアーについて触れたのですが、今回はフリーエアーというのはそもそも何なのか?なぜ、フリーエアーを見つけるのが大切なのかを解説していきたいと思います。
腹腔内に空気があって何が悪い?
そもそも、腹腔内や後腹膜には空気(ガス)は基本的には存在しないはずです。なので、空気があること、それ自体が異常なのです。
そして、異常な状態(空気がある状態)になっていることの原因が何なのかを探すことが重要なのです。
すこしややこしいですが、空気には2種類あり、1つは消化管の穿孔によるものや術後のフリーエアー(遊離ガス)。
もう1つは、それ以外の空気なのですが、これは例えば、
・気腫性の感染によるもの
・虚血が原因になっているもの
などがあります。
そして、穿孔が原因であれば腹膜炎→敗血症に移行してしまったり、
腸管虚血が原因であれば、腸管壊死に至ってしまったりするので、しっかり原因を考えるのが重要になってきます。
腸管虚血でなぜ門脈気腫になるのか?
門脈気腫などであれば、腸管の虚血を反映したもので、一刻を争う事態になるかもしれないのですが、それではなぜ門脈に空気が入るのでしょうか。
これは色々調べてみたのですが、なかなか理解するのに難しく、参考程度にしてもらえればいいのですが…
損傷した血管から直接、ガスが入り込むことによって門脈気腫になるようで、それはすなわち、腸の血管が破綻している状態というのが確実にあるというのを示しているようです。
腸管虚血をきたしている場合の腸管壊死は90%、また、致死率も75%と高いのでなんとしても見落としはないようにしなければいけません。
門脈気腫と似たものに胆管気腫があります。
こちらは胆道の内視鏡的処置をしていると発生することがあるのですが、原因がそれだとわかっていれば問題ないです。
しかし、単純CTで両者を見分けるのはなかなか難しいので、カルテなどで内視鏡的処置をしていないかを確認してみて、もしされてなければ、担当医に報告するべきでしょう。
一応、区別としては
門脈内ガスは門脈の流れに沿って奥へと運ばれるので肝末梢にまで到達します。
逆に胆管ガスは肝門部に集まることが多いです。
なぜ腸管虚血から死に至るのか?
腸管ってそんなに生命に重要な組織なのか?ちょっと虚血したくらいで重篤な状態になるのか?と疑問に感じる人も多いと思います。
理由としては、腸粘膜は代謝率が高く、多くの血液を必要としているので、血流低下の影響に非常に敏感なのです。
そして、虚血になると、粘膜バリアが障害を受け、細菌や毒素が放出され、多臓器不全になってしまうのがメカニズムのようです。
今回はここまで!次回は穿孔による腹膜炎について書いていこうと思います。
今回の参考文献はこちら↓
レントゲン撮影のコツ・ポイント
CTの基礎、造影理論など
検査前日の心得/造影CTの目的/ビグアナイド薬と乳酸アシドーシス
MRIの原理と注意点
放射線技師の転職
転職エージェント体験談/天職の見つけ方/第二新卒/20代の転職
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