[股関節レントゲン撮影]ラウエンシュタインと軸位の違いは?ポジショニングのコツや解剖も含めて!

こんにちわ。

放射線技師のカロン@muscle_radioです。

今回も引き続き整形レントゲン撮影のコツシリーズを更新していきます。

 

 

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[レントゲン撮影方法完全まとめ]胸部、腹部から整形撮影まで、放射線技師1年目はコレを見ておけ!

2018.07.26

 

 

今回は股関節撮影のポイントについて解説していきます。

 

股関節のレントゲン撮影は基本的に、両股関節正面に加えて、患側の股関節を軸位ラウエンシュタインで撮影しますよね。

 

軸位撮影が多いか、ラウエンシュタインでの撮影が多いかは病院ごとに違ってきます。

 

わたしも、最初の病院ではラウエンシュタイン撮影がほとんどだったため、

 

軸位ってあんまりやらない撮影なのかな~

 

と思っていました。

 

(救急などラウエンシュタインの体位が厳しい場合はまれに軸位になることがありましたが、ほとんどやったことはありませんでした。)

 

しかし、次の病院ではほとんどが軸位撮影を占めていたため最初はかなり戸惑いました。

 

病院によってどっちを撮影するか違うんだ。。。

 

 

このように、病院ごとに好まれる撮影法は分かれます。

ラウエンシュタイン撮影と軸位撮影、片方しかやってないよーって方も多いと思います。

 

 

となると、

軸位とラウエンシュタイン、出てくる画像はほとんど変わらないような気がするんだけど、何が違うの…??

 

と疑問が湧いてきますよね。

 

なんとなく2つの画像を見ていても違いはわかりづらいので、ここでしっかり両者の画像の特徴をつかみましょう。

 

また、軸位撮影が多い病院でもたまにラウエンシュタイン撮影のオーダーが出ることもあります。

なので、そういう場合にも慌てることがないように、どちらの撮影のコツも押さえておきましょう。

 

 

ラウエンシュタイン撮影。ポジショニングのコツと解剖

 

では先にラウエンシュタイン撮影について解説していきます。

 

ラウエンシュタイン撮影時のポジショニングは国家試験の問題でもよく出てくるので覚えている人も多いと思います。

 

イラストにするとこんな感じになりますね。

 

反対側を少し浮かせて骨盤を斜位にして、撮影側のお膝を寝台につけるぐらいに倒せればOKです。

 

 

次に中心線ですが、わたしの場合は鼠経線の2指上を中心にしています。

※青で囲った部分ラインが鼠経線

 

 

シェーマはこんな感じです。

 

※軸位撮影画像との比較は最後になります。

 

 

股関節軸位撮影。ポジショニングのコツと解剖

 

 

軸位の場合はお尻に高さを上げるものを入れたり、反対側の足を上げたり、カセッテを保持しなければならないので少し大変です。

 

ただ、ラウエンシュタイン撮影と違い、患側に体を傾ける必要がないため痛がる患者さんにとってはコチラの方が幾分楽にはなります。

 

ポイントとしては、基本的に横貫きでの撮影になるので、そのまま撮影すると下の方が欠けてしまいます。

 

なので、高さを調整するためにお尻に何か入れるかして股関節がカセッテ内に入るようにすることを忘れないようにしてください。

 

また、カセッテと管球(X線束)が平行になるようにしなければいけません。

 

これも最初はわかりづらいですが、一回セットしたら、少しだけ遠目で見てみるなどして平行になっているかの確認も忘れずおこなってください。

 

カセッテの位置は骨盤上縁の3指上をカセッテの上端にしています。

 

シェーマはこんな感じです。

 

 

 

ラウエンシュタイン撮影と軸位撮影の違いは??

 

では次に、ラウエンシュタインと軸位の画像の違いについて見ていきましょう。

 

違いなんてあるの~??
2つ並べられただけじゃ、どっちがどっちかわからないよ。。。
ラウエンシュタイン撮影の方が撮影するの楽だし、全部ラウエンシュタインでやりたいなぁ。

 

たしかに、少し見ただけでは違いはわかりませんが、実は細かいところで違いがあります!

ちょっと大変だけど軸位の方が得られる情報が多いのですよ!

 

 

では、どのように違うのか。

 

股関節の撮影で大事な大腿骨頸部を見てみましょう。

 

↓軸位撮影

 

↓ラウエンシュタイン撮影

 

このように大腿骨頸部は、軸位の方がラウエンよりも広く描出されます。

 

それだけでなく、大転子も大きく映ります。

※ラウエンの場合だと、大転子が骨頭の後ろ側に来てしまい、わかりづらい! 

 

意外と違いがありますね。

ラウエンの方が撮影的には簡便に感じますが、軸位の方が画像から得られる情報が多いので軸位オーダーを出すのもわかります。

 

ただやはり、当直中や夜勤で人が少ない、自分しかいないような場合には動けない患者さんの軸位撮影をするのは酷なものがあります。

 

 

お尻になんか入れなきゃだし、管球の角度を変えて、反対側の足を上げて、カセッテ持って…
あれっ、曝射スイッチが押せない…!!!(´;ω;`)

 

それに比べてラウエンシュタイン撮影では体を斜位にするだけなので、そこまで負担は多くないです。

(もし、患側を下にする体位をめちゃくちゃ痛がる場合は軸位の方が負担は少なくなりますが…)

それでも軸位で時間をかけるよりラウエンでさっと撮影した方がありがたいのかもしれません。。。

 

 

まとめ

 

というわけで、なかなかわかりづらい股関節軸位撮影とラウエンシュタイン撮影の違いを少し解説しました。

 

最後におまけとして、軸位撮影をしたときに、

 

あれっ?画像ってどっち向きにすればいいんだっけ?って思うことありますよね?

 

例えば、左股関節軸位撮影をしたときに、

こう出すか

こう出すか

考え方としては、座骨が下にくるようにすればいいのですが、もしわかりづらい場合は、足側から見たとして、

こういう風に画像が出た方が自然ですよね?

 

という感じで左右の向きを間違えないアドバイスでした!

 

 

おまけ

 

少しの角度の違いでイメージ通りにならない整形レントゲン撮影。

再撮影の時にすぐに修正できるように、整形レントゲン撮影のコツシリーズまとめてありますよ!

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ABOUTこの記事をかいた人

カロン

大学卒業後、大学病院、透析クリニックを経て、民間の総合病院に勤務しています。 自身の経験から悩める新人放射線技師や放射線技師を目指す学生に発信していきたいと思っています。 ◇保持資格◇ ・診療放射線技師免許 ・第一種放射線取扱主任者試験合格 ・AHA BLSヘルスケアプロバイダーコース受講済み