こんにちわ!
放射線技師のカロン@muscle_radioです。
最近はCT検査に入りたての新人放射線技師さん向けに造影について多く書いています
※CT検査についてまとめた記事はコチラからどうぞ!
今回は造影CTについて基礎にあたる造影剤量について勉強していきましょう。
という疑問に答えていきます。
造影CTに必要な造影剤量とは??
撮影時の線量が患者さんごとに適正化されなければいけないのと同様に造影剤の量も患者さんごとに合わせていく必要があります。
と調べていくと、
300mgI/mLの製剤で1.5~2.5mL/kgぐらい必要…
と結果は報告者によってまちまちです。
っていうか、造影検査を始めたばかりの人にとってはわかりづらい表現の仕方ですよね。
造影検査について勉強していくと、こういったわかりにくい単位も出てくるのでここも少し説明していきます!
必要造影剤量についての見解はバラつきがありますが、今のところ造影剤について最も深く考察していると思われる、CT造影理論(市川智章 医学書院)、また、CT造影技術(八町淳 MEDICAL EYE)によると、300mgI/mlの製剤で2.0mL/kgあれば必要量は満たせていると結論づけています。
つまり、何mL必要なの??
よく使われているタイプの300mgI/mlのシリンジは100mLのものが多いと思います。
↑イオパミロン300mgI/ml シリンジ 医薬情報 Qlife Proより
2.0ml/kg必要ということは、100mlある場合、
100ml÷2.0ml/kg=50kg
になります。
ですので、上記の理論にのっとれば、この100mlのシリンジ一本で50kgまでの患者さんはカバーできるということですね。
みなさんも先輩から、患者さんの体重が50kgありそうか聞かれることがあると思います。
50kgを境にしていることがわかりますよね。
それより体重が多ければ、濃度の濃い造影剤である350mgI/mlや370mgI/mlの使用を検討するでしょう。
↑イオパミロン300mgI/ml シリンジ 医薬情報 Qlife Proより
反対に体重が50kgに満たなければ、それに合わせて造影剤量を減らしていきます。
また、腎機能の悪い患者さんを造影せざるをえない場合もあると思います。
医師から
とオーダーされることもあるかもしれません。
そういった時も患者さんの体重を考慮して、例えば、
という風に説明できるようにしましょう。
もう少し深く考察…(総ヨード量を中心に)
ここまで、300mgI/mlのシリンジで2.0ml/kgと言ってきました。
なぜ毎回300mgI/mlのシリンジでと言ってきたのかというと、当然、検査で大切になってくるのが、「造影剤量」ではなく、「総ヨード量」だからです。
※300mgI/mlのシリンジ100mlを使用した場合、
300mgI/ml×100ml=30,000mgI
30,000mgIは30gIですね。
そして
370mgI/mlのシリンジ100mlを使用した場合、
370mgI/ml×100ml=37,000mgI
37,000mgIは37gIになります。
また、ヨード量を中心に考えた場合、体重との関係は
600mgI/kg
となります。
なかなかわかりづらいですが、丁寧に計算すると、
50kgの方の場合
600mgI/kg×50kg=30,000mgI
つまり30gIが必要量になります。
この30gI、
さきほどの300mgI/mlシリンジで100ml使用した場合のヨード量と同じになりますね。
また、60kgの人の場合は
600mgI/kg×60kg=36,000mgI
になります。
300mgI/mlのシリンジでは
36000mgI÷300mgI/ml=120ml
370mgI/mlのシリンジでは
36000mgI÷370mgI/ml≒97ml
が必要な造影剤量になりますね。
まとめ まずは造影剤量を決められるように
ということで、ふだんあまり意識していない人も多いかもしれない造影剤量について記事にしました。
必要な造影剤量はどのようにして考えられているのかを知るのは、再現性を上げるためにも大事ですよね。
また体重が60kg以上の方の造影検査も多くあると思います。
ここで述べた理論だと370mgI/mlのシリンジでもヨード量はカバーできていないので、そういう場合はどうしているのかなども先輩に尋ねてみましょう。
こういったことを意識して、自分一人で造影検査に臨むときには適切な造影剤量を決められるようにしておけば、当直に向けても安心感がでてきますね!
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