【新人放射線技師さん向け】造影CTの基本vol.1 造影剤量のお話

こんにちわ!

放射線技師のカロン@muscle_radioです。

最近はCT検査に入りたての新人放射線技師さん向けに造影について多く書いています

 

※CT検査についてまとめた記事はコチラからどうぞ!

 

今回は造影CTについて基礎にあたる造影剤量について勉強していきましょう。

 

「造影CTに必要な造影剤量っていつも先輩に決めてもらってるけど、どうやって決めてるの??」

 

という疑問に答えていきます。

 

 

造影CTに必要な造影剤量とは??

 

 

撮影時の線量が患者さんごとに適正化されなければいけないのと同様に造影剤の量も患者さんごとに合わせていく必要があります。

 

「至適造影剤容量ってどれくらいなんだろう??」

 

と調べていくと、

300mgI/mLの製剤で1.5~2.5mL/kgぐらい必要…

と結果は報告者によってまちまちです。

 

っていうか、造影検査を始めたばかりの人にとってはわかりづらい表現の仕方ですよね。

造影検査について勉強していくと、こういったわかりにくい単位も出てくるのでここも少し説明していきます!

 

必要造影剤量についての見解はバラつきがありますが、今のところ造影剤について最も深く考察していると思われる、CT造影理論(市川智章 医学書院)、また、CT造影技術(八町淳 MEDICAL EYE)によると、300mgI/mlの製剤で2.0mL/kgあれば必要量は満たせていると結論づけています。

created by Rinker
¥5,500 (2024/11/21 16:25:16時点 楽天市場調べ-詳細)
【送料無料】 Ct造影技術 / 寺澤和晶 【全集・双書】

 

 

つまり、何mL必要なの??

 

よく使われているタイプの300mgI/mlのシリンジは100mLのものが多いと思います。

 

 

 

 

↑イオパミロン300mgI/ml シリンジ 医薬情報 Qlife Proより

 

 

2.0ml/kg必要ということは、100mlある場合、

100ml÷2.0ml/kg=50kg

になります。

 

ですので、上記の理論にのっとれば、この100mlのシリンジ一本で50kgまでの患者さんはカバーできるということですね。

 

 

みなさんも先輩から、患者さんの体重が50kgありそうか聞かれることがあると思います。

50kgを境にしていることがわかりますよね。

 

それより体重が多ければ、濃度の濃い造影剤である350mgI/mlや370mgI/mlの使用を検討するでしょう。

 

 

 

 

 

↑イオパミロン300mgI/ml シリンジ 医薬情報 Qlife Proより

 

反対に体重が50kgに満たなければ、それに合わせて造影剤量を減らしていきます。

 

 

また、腎機能の悪い患者さんを造影せざるをえない場合もあると思います。

 

医師から

「造影剤量少なめでお願い!」

 

とオーダーされることもあるかもしれません。

 

そういった時も患者さんの体重を考慮して、例えば、

必要量の8割くらいの量で検査します

 

という風に説明できるようにしましょう。

 

 

 

もう少し深く考察…(総ヨード量を中心に)

 

ここまで、300mgI/mlのシリンジで2.0ml/kgと言ってきました。

 

なぜ毎回300mgI/mlのシリンジでと言ってきたのかというと、当然、検査で大切になってくるのが、「造影剤量」ではなく、「総ヨード量」だからです。

 

※300mgI/mlのシリンジ100mlを使用した場合、

300mgI/ml×100ml=30,000mgI

30,000mgIは30gIですね。

 

そして

370mgI/mlのシリンジ100mlを使用した場合、

370mgI/ml×100ml=37,000mgI

37,000mgIは37gIになります。

 

 

また、ヨード量を中心に考えた場合、体重との関係は

600mgI/kg

となります。

 

なかなかわかりづらいですが、丁寧に計算すると、

 

50kgの方の場合

600mgI/kg×50kg=30,000mgI

つまり30gIが必要量になります。

 

この30gI、

さきほどの300mgI/mlシリンジで100ml使用した場合のヨード量と同じになりますね。

 

また、60kgの人の場合は

600mgI/kg×60kg=36,000mgI

になります。

 

300mgI/mlのシリンジでは

36000mgI÷300mgI/ml=120ml

 

370mgI/mlのシリンジでは

36000mgI÷370mgI/ml≒97ml

 

が必要な造影剤量になりますね。

 

 

まとめ まずは造影剤量を決められるように

 

ということで、ふだんあまり意識していない人も多いかもしれない造影剤量について記事にしました。

 

必要な造影剤量はどのようにして考えられているのかを知るのは、再現性を上げるためにも大事ですよね。

 

また体重が60kg以上の方の造影検査も多くあると思います。

ここで述べた理論だと370mgI/mlのシリンジでもヨード量はカバーできていないので、そういう場合はどうしているのかなども先輩に尋ねてみましょう。

 

こういったことを意識して、自分一人で造影検査に臨むときには適切な造影剤量を決められるようにしておけば、当直に向けても安心感がでてきますね!

 

その他のCT検査についてまとめた記事はコチラからどうぞ!

 

コチラの記事も読まれています

放射線技師が向いてないと思ったら…あなたに合った転職を見つける方法を紹介

【経験済み】放射線技師1,2年目の転職は厳しいはウソ?本音を語ります

レントゲン撮影のコツ・ポイント

胸部/腹部

頸椎(側面)/頸椎(斜位)/頸椎(開口位)

腰椎(正則)/腰椎(斜位)/腰椎(前後屈)

骨盤(インレットアウトレット)/股関節(ラウエン、軸位)

肩関節(正面,スカプラY)/肩鎖関節

手関節/肘関節/尺骨神経溝

大腿骨/膝関節(側面、スカイライン)

踵骨(軸位)/アントンセン

 

CTの基礎、造影理論など

検査前日の心得/造影CTの目的/ビグアナイド薬と乳酸アシドーシス

インジェクター/最適な造影剤量/注入速度とTDC

 

MRIの原理と注意点

プロトンの振る舞い/共鳴と励起

緩和/SE法の原理

TETRとコントラスト/GRE法の原理

傾斜磁場とは

 

放射線技師の転職

年収を上げる方法/うちの病院おかしい?/人間関係が辛い

転職エージェント体験談/天職の見つけ方/第二新卒/20代の転職

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

ABOUTこの記事をかいた人

カロン

大学卒業後、大学病院、透析クリニックを経て、民間の総合病院に勤務しています。 自身の経験から悩める新人放射線技師や放射線技師を目指す学生に発信していきたいと思っています。 ◇保持資格◇ ・診療放射線技師免許 ・第一種放射線取扱主任者試験合格 ・AHA BLSヘルスケアプロバイダーコース受講済み