傾斜磁場を与えると位相が変化する理由を動画で解説します。
前回はGRE法の解説をやりました。
その中で、傾斜磁場は磁場強度を(傾斜をつけて)変化させること、
磁場強度を変化させると歳差運動の周波数が変化して、それはスピンの位相の変化につながるということをいいました。
![](https://takuchan.site/wp-content/uploads/2019/09/nayamu.jpg)
今回はちょっとわかりにくい、このあたりのことについて触れていきたいと思います。
傾斜磁場を与えると何が起こるか
そもそも“傾斜磁場”とは、場所によって磁場の強さに違い(傾斜)をもたらすようにするものです。
![](https://takuchan.site/wp-content/uploads/2020/01/IMG_1421-768x1024.jpg)
もともとMRIの中のスピンは静磁場を受けています。(教科書ではよく静磁場B₀と言っています)
そこに傾斜磁場をかけることで、場所ごとに磁場強度が少しずつ違ってくるようになります。
傾斜磁場をB₁とすると、B₀+B₁の磁場を受けていることになります。
ここからは動画も交えて考えていきましょう。
このように、最初は同じように回転しています(同じ周波数で歳差運動している)
![](https://takuchan.site/wp-content/uploads/2020/01/bi9xNF5f2.gif)
そこに傾斜磁場をかけると、
![](https://takuchan.site/wp-content/uploads/2020/01/EJQlub2ba-1.gif)
磁場の(相対的に)弱いところは加速するのがゆっくりで、強いところは急速に加速していきます。
つまり、場所によって回転周波数に違いが表れます。
![](https://takuchan.site/wp-content/uploads/2019/08/koma.jpg)
回転周波数が変わるということは、回転する速さに差ができるということです。
傾斜磁場を切ると何が起こるか
ここで傾斜磁場を切るとどうなるでしょうか?
受ける磁場は静磁場B₀に戻りますので、回転するスピードは一番始めに戻ります。
つまり、プロトンはもとの周波数で歳差運動をしだします。
けれど、早さを変えたときにできた差はもとにはもどらないです。
![](https://takuchan.site/wp-content/uploads/2017/12/1.jpg)
この多く回転したぶんが位相φになります。
I=Msin(ωt+φ)
※M:磁化ベクトル、ω:各速度(2πf)、φ:位相
のφです。
傾斜磁場を短時間だけかけることでできた回転の差が位相差になります。
これで、同じ速さで回転しているけれど、位相が異なるという状態ができあがります。
このように、傾斜磁場をかけることで位相を変化させることができるのです。
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