こんにちわ!
放射線技師のカロン@muscle_radioです。
前回に続いて、今回も新人放射線技師さん向けに造影CTについて書いていきます。
新人放射線技師からしたら、
と造影剤を開発した人を恨みたくなりますよね。
副作用の観点からも絶対に安全とは言い切れない造影剤。
それでも造影CTをおこなうのは、それを上回るメリットがあるからなんです。
今回はまず、造影CTがどんな場合に必要かを確認していきましょう。
なぜ造影CTを行うのか
そもそも、なぜ造影CTをおこなう必要があるのでしょうか。
オーダーをした医師によって色々目的はあると思いますが、その目的としては大まかに
・血管の状態を知りたい(大動脈解離などの鑑別)
・術前の血管3Dが欲しい
・Coronary CT
・血行動態を利用して、疾患を特定するため(肝細胞癌?管血管腫?)
・炎症疾患の鑑別(虫垂炎、胆嚢炎)
・癌術後のフォロー(転移、再発はないか)
・そもそも血管に血流が保たれているか(特にASO、下肢の血管の確認)
…etc
などが考えられます。
では、これらについて、すこしだけ解説していこうと思います。
血管の状態を知りたい場合
まず血管の状態を知りたい場合に造影をおこないます。
目的としては、大動脈解離の鑑別などがありますね。
救急外来で「背部痛」とコメントされていたら、まず解離を疑いますよね。当直中だったらドキドキしちゃいます。
単純撮影でも解離を疑うことはできますが、アーチファクトなどの影響もあってわかりづらいので造影は必須になります。
術前の3D画像が欲しい場合
これは脳血管の場合がイメージしやすいですね。
カテーテル治療にしても、開頭手術にしても術前に血管の走行がどうなっているのかは非常に重要になります。
脳梗塞にしても、クモ膜下出血にしても治療の際には脳血管3DCTがオーダーされる施設も多いはず。
※早期脳梗塞の鑑別に有用なearly CT signについてはコチラの記事で解説しています
また、同じ理由で、術前の腹部血管の3D画像の構築も依頼が多いでしょう。
こういった血管の3D構築も造影剤があるおかげで実現し、安全な手術につながっています。
Coronary CT
これも夜勤中や一人しかいない時だとドキドキちゃいますよね。
心筋梗塞だとはっきりわかっていれば、CTなど撮らずに、即、カテーテル治療になりますが、そこまで緊急を要さないような場合はCoronary CTのオーダーが入ることも多いですよね。
患者さんからしても、剃毛されて、清潔状態で医師、看護師、臨床工学技士、放射線技師といった面々に囲まれて検査する(CAG)より、腕の静脈に穿刺されて20~30分かからず終われるCoronary CTのほうが心理的にも負担は少ないでしょう。
↑心臓CTを勉強するなら、まずはこの本!基礎がわかりやく解説されているので何回も読み返しましょう。
血行動態を利用して疾患を特定する場合
これはとくに肝細胞癌の鑑別をする場合のことですね。
単純CTで、肝臓に何か気になるものがあるけど…
という場合にそれがなんなのかはっきりさせるためにダイナミック撮影を行います。
造影剤を使ったダイナミック撮影を行わなければ、それが“癌”なのか“血管腫”なのか、はたまた“のう胞がそれっぽく見えた”のかを区別することができません。
出典:千葉県立 佐原病院様 肝胆膵画像診断より
↑厚くて大きな「ザ・参考書」って感じですが、CT,MRIと腹部画像を網羅していて画像も豊富なのでおススメです。
炎症疾患の鑑別
例えば急性膵炎や、胆嚢炎、虫垂炎などですね。
よほどひどい場合には単純CTだけでも脂肪織濃度の上昇でわかりますが、造影することではっきりと診断できます。
・癌術後のフォロー
胃がんや、消化器系の癌の術後のフォローも5年目くらいまで造影CTで再発や転移がないか確認します。
肝がんの治療の場合(開腹術もRFAも)はダイナミック撮影になることも多いです。
そもそも血管に血流が保たれているか
これは主に下肢の末梢の血管の話になります。ASOです。
出典:河内総合病院 ASO外来より
まずは造影する目的を考えよう!
前々回の記事でも書きましたが、ただなんとなく検査をおこなうだけでは理解が深まりません。
なぜ、その検査をするのか?
なぜ、今回は造影をする必要があるのか?
こうしたことを日々の検査から考えていきましょう!
そのためにも事前の検査の確認は重要です。
※CT検査についてまとめた記事はコチラからどうぞ!
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