こんにちわ!
放射線技師のカロン@muscle_radioです
今回も前回に続き、CTの基礎について書いていきたいと思います。
と、先輩たちはさらっと言ってきますが、いったいどうやって注入速度を決めているのでしょうか。
その理解に少しでも役立てるように書いていきますね。
その前に…注入速度と針の太さ(G)について
これは病院ごとに決まりがあると思うので、注入速度がいくつを超えたら20Gにするのか?はしっかり確認しておきましょう。
だいたい3〜4(ml/sec)あたりになってくると20Gに変えていく施設が多いと思います。
患者さんからしても針はできるだけ細い方が苦痛は少ないので、最低限の太さで済ませられるよう検討するのもいいですね。
注入速度は1〜5(ml/sec)までが一般的?
ということで注入速度についてですが、病院によっても方針が違うので参考程度に見てくださいね!
まず、注入速度について、一般的にありえる値としては1〜5(ml/sec)くらいまでだと思います。
そして、目的部位と注入速度の関係を図に表すとこんな感じになります。↓
平衡相のみの撮影の場合、だいたい1〜2(ml/sec)、
肝や膵臓ダイナミックの場合になると3(ml/sec)前後、
脳血管や腹部の血管の3D構築をする場合は3〜4(ml/sec)
心臓CT(冠動脈造影)の場合は、患者さんによりますが3.5〜5(ml/sec)くらいになることが多いです。
検査によってこんなに速度が違うと覚えるのが大変ですよね。
なぜこれほど検査ごとに条件を変える必要があるのでしょうか。
そのヒントはTDC(time dencity curve)にあります。
みなさんもご存知のことと思いますが、time dencity curveは時間とHUの関係をグラフにしたものです。
種々の条件を変えて対比させる目的でもよく使われていますね。
CT造影技術(八町淳 MEDICAL EYE)によると各注入速度による対比はこんな感じになります。
検査目的と注入速度の関係を考えよう
注入速度が1(ml/sec)前後ではほとんどピークのないグラフですね。
そして3(ml/sec)くらいになると、ある程度のピークを持ったグラフになります。
肝ダイナミック撮影で注入速度が3(ml/sec)くらいになるのは、このピーク付近のところで動脈相を撮影したいからです。
なら他の造影検査も3(ml/sec)くらいでいいじゃないか!と言いたくなりますよね。
しかし血管構築(血管3D)の場合、
できるだけ高いCT値を確保してキレイな3D画像をつくりたい。。。
という狙いがあります。
そのため(CT値を上げるため)に注入速度を上げていきます。
グラフを見てもわかるように注入速度を上げるほど、HUは上がっていきますね。
じゃあできるだけ注入速度をあげればいいのか!と思いたくなりますが、注入速度を上げるとピークが高くなる代わりにCT値が高い時間(持続時間)が短くなります。
つまり撮影タイミングがシビアになります。
このCT値が高いタイミングの間に撮影したいのですが、注入速度を上げすぎるとなかなか難しい。
とくに腹部血管ともなると、撮影範囲も広いのでしっかりタイミングが合わないと血管がボソボソになってしまう…
そういうわけで腹部血管の3D構築の場合、ある程度CT値が確保でき、時間も余裕ができる注入速度として、3.5〜4(ml/sec)くらいが適当になります。
脳血管や冠動脈の造影の場合。
造影CTのなかでも1番注入速度が速いのが、この検査です。
この検査の特徴といえば、今までの検査と違い、(基本的には)完全に血管のみにフォーカスしているということです。
動脈相を撮影して終わり!
平衡相を撮影することはほとんどないですよね。
ということで、とにかく血管のCT値を上げることに注目します。
また,腹部血管ほど撮影範囲も広くないので注入速度も上げられますね。(当然、その分タイミングはシビアになります、早すぎても遅すぎてもダメ!)
ということで注入速度は3.5〜5(ml/sec)くらいになります。
まとめ
注入速度1つとっても目的部位によってこれだけ違いますね。
もちろん病院によって方針は違うので、先輩に細かいことは聞くとして、大まかな考え方は覚えておいてください!
だいたいの一般的な注入速度を覚えておいて、そこから先輩たちはどのように調整しているかに注目してみてくださいね!
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