こんにちわ!放射線技師ブロガーのカロン@muscle_radioです
前回までは病院にはびこるよくわからない言葉を一気に解説してきましたが、今回は一つのテーマに沿ってみていきましょう。
というわけで、今回は頭部領域の勉強です!
頭部CTの依頼だ! 出血?梗塞?
CTに携わっていると、毎日とんでもない数の頭部撮影の依頼が舞い込んできます。
そして、そのほとんどは、転倒による打撲か頭痛、めまいを訴えているため、念のため精査をしておきましょうということでCTの検査です。
意識障害やめまいがあれば、脳梗塞を疑いますし、頭痛や嘔吐であれば脳出血を疑ってのCTということになるのですが、画像上は異常なしなのがほとんどなんですよね。。。
しかし、当直でひとりぼっちの時など、周りに意見をもとめられない場合は、なかなかにナーバスになります。
例えば、視床出血などの場合はわかりやすいのですが、くも膜下出血の場合は、コントラストがなかなかつかなかったりして、これはSAHなのか…??と迷うことも多く、次の日の朝までもやもやしたまま過ごすということもあります。
ですので、そうした見逃しがないよう、日々勉強にはげんでいるのですが、例のごとく、またよくわからない用語が頻出しますので、それもふまえて解説していこうと思います。
なんで脳の血管が出血するの??
まずはなぜ、脳の血管から出血するのか…?です
脳梗塞の場合もそうですが、その理由はのほとんどは「高血圧」になります。
長年の不摂生により、カチコチに硬くなった動脈さんたち。もとは弾力があって、そのやわらかさで心臓から出た血液を優しく全身に行き渡らせるのですが…
かれらにもう、やさしく血液を運ぶ余裕はありません。ただ、血液を流すだけの鉄パイプとなり果てたカチコチの動脈さんたち…
心臓から出た血液はそのままの圧力で全身の隅々まで行くことになります。
そして、末端の血液は強い圧力に耐えられないので血管が「ブチっ」となるのです。
これが脳の血管で起これば、脳出血となります。
車で例えるなら高速道路をでたあとも、その余韻で一般道でも100km/hを出し続け、事故になるようなものです。
出血をすると何が問題なんだい…??
カロンは始めのころ、こう考えていました。
出血していて、なんとなくやばいのはわかる…
「でも血が出てるだけなんだよね。なんでそんなに状態が悪くなるんだ???」
しかし、その答えは思ったよりも単純なものでした。
この高血圧性脳出血で出血場所として多いのは、まず、被殻そして視床、さらに橋、小脳とあります。
まず、数の多い被殻と視床をみてみましょう。
視床と被殻を隔てるもの、それが内包といわれるものです。
そしてこの地味な「内包」。これが神経繊維の通り道で、内包の近くにある視床や被殻が出血することによりあらわれた「血種」がこの「内包」を圧迫するのです。これは物理的な話です。
内包はCTでは、こんな感じで周囲より黒っぽく見えます。
その外側にあるのが被殻で、内側に視床があります。
被殻出血の画像がこちらです。
血種があらわれたことにより一目で脳が苦しそうなのがわかりますよね。
特に内包はグッと脳の真ん中に寄せられてしまっています。
こうなるとその中を通る神経線維も押されてしまい、神経伝達もうまくいかないですよね。
というわけで、ここが出血→血種ができると麻痺や発語ができないといった事態になります。
コロナルで見た方がわかりやすいかもしれないのですが、なかなか画像がないので絵を描いてみました
こんな感じで、内包が視床と被殻をわけています。そしてその内包の中を神経線維が通っているのですが、出血が起こると…
このように内包が押しつぶされて神経線維が通れなくなっちゃいますよね。こうして、脳からの命令が寸断されてしまい手足が動かなくなってしまうということになります。
視床や被殻の出血では内包がポイントとなるんですね~
今回はここまでにします!
次回は硬膜下血腫、硬膜外血腫、あと急性と慢性についてまとめていきます。
では!
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