[頭部CT]early CT sign とは何か?原因から画像を考えよう!

みなさん、こんにちわ
放射線技師ブロガーのカロン@muscle_radioです。

今回のテーマはearly CT sign です。

新人放射線技師のみなさんも早い方では夏ごろからCTの研修をしている病院もあると思います。

頭部CTでは最初は出血や梗塞について勉強していきますよね。

 

脳出血についてはこちらの記事で解説しました。

[頭部CT]脳出血の原因って何?なぜ出血で状態が悪くなるのか。

 

今回は脳梗塞について!

とくに脳梗塞発症初期でのearly CT signについて解説していきたいと思います。

 

ご存知の通り、急性期の脳梗塞はMRIが有用で、CTでの評価は難しいとされています。

 

そんな中、CTで急性期の脳梗塞を発見する有用な方法が!

それがearly CT sign です。

 

 

early CT signとは何なのか?

 

early CT signとは、超急性期の脳梗塞で見られる所見で次のものがあります。

 

・hyper dense MCA sign

 

・レンズ核の輪郭不明瞭化

 

・皮質ー白質境界、島皮質の不明瞭化

 

・脳溝の消失

国家試験の問題などでも目にしたことが多いであろう文言ですよね。

 

 

hyper dense sign 以外はわかりづらい?

 

ここで、hyper dense MCA sign はわかりやすいと思いますが、その他の所見ってなんとなくわかりづらいですよね。

 

カロンも当初は、なんとなくの雰囲気で覚えていました。

 

ただ、なぜこれらのsignが出るのかというと、

血栓による高吸収化、虚血による信号低下そして脳の浮腫が起きているからなのです。


early CT signが出ている背景がわかれば理解もしやすいと思うので覚えておくといいでしょう。

 

ちなみに、この記載した順番は脳梗塞発症から所見が出る順番で、hyper dense MCA signが発症後、一番始めに確認できる所見です。

下に進むほど、発症から時間が経っているということになります。

 

 

hyper dense sign  高吸収なのは血栓を反映しているから

ではまず、hyper dense MCA sign について解説していきます。

これは中大脳動脈(MCA)内に高吸収部分を認める所見です。

飛んで行った血栓と、それより末梢のMCA領域が高吸収になります。

単純CTでもMCAはわかりやすいので、普段から頭部CTを撮影した際にはMCAを意識して見るようにすると良いですよ!

 

そしてhyper dense MCA signを見つけるときに大切なのは

左右のMCAで比較すること

です。

 

人によって濃度差はあるので、一見して
「ちょっと高吸収かな?」
と疑いたくなる時は往々にしてあります。

 

カロンも当直の際には不安になることがあるのですが、そんな時は落ち着いて左右で比較しましょう。

 

左右とも塞栓されてMCAが高吸収になることはほとんどありません。

 

ですので左右で同じような濃度であれば正常であると言えます。

 

気になる場合にはCT値を測ってみるのもいいでしょう。

 

レンズ核の不明瞭化

 

続いて、レンズ核の不明瞭化についてです。

レンズ核は被殻と淡蒼球を合わせた部分なのですが、ここは穿通枝によって血流がまかなわれています。

穿通枝とは何なのかというと、MCAなどの大きな血管から分岐してレンズ核のなかに直接血流を送っている血管です。


穿通とは突き刺さっていること。

 

レンズ核に直接突き刺さって血液を送っているので、このレンズ核は虚血の影響を受けやすいです。

ということはそれだけ、早くから虚血の影響を受け輪郭が不明瞭になります。

 

 

 

 

皮質ー白質の境界不明瞭化

さらに時間がたつと虚血の影響も大きくなり、皮質の吸収値が低下(ふだんより黒くなる)することで白質との境界がわかりづらくなります。

島(とう)も同じように虚血の影響を受け吸収値が低下し、白質との境界がわかりづらくなります。

島はドコかというとwikipedia的にはこんな感じです。

わかりづらいですね!

前頭葉と側頭葉を押し分けると島があるようです。

ただ、この部分は頭蓋骨と距離があり、骨アーチファクトの影響を受けづらく観察できるというメリットがありますので、場所は覚えておきましょう。

 

矢印の部分です

 

 

脳溝の消失

 

最後に発症後三時間くらいから脳の浮腫を反映した所見が見られるようになります。

これが脳溝の消失にあたります。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

脳梗塞発症後初期の発見ができるというのは、t-PAによる治療も可能かどうかにも関わってきます。

 

early CT sign はヘリカル撮影ではなく、ノンヘリカル撮影での観察が推奨されているので、そこも意識しましょう。

 

また同じ時期に撮像したMRIもあればそれと対比しながらearly CT sign がどのように出現しているかも見てみるのも良いですね。

積極的にたくさんの画像を見て、慣れていきましょう。

 

↓今回の参考文献たち

created by Rinker
¥4,180 (2024/10/07 23:22:18時点 楽天市場調べ-詳細)
CT super basic/市川勝弘

 

レントゲン撮影のコツ・ポイント

胸部/腹部

頸椎(側面)/頸椎(斜位)/頸椎(開口位)

腰椎(正則)/腰椎(斜位)/腰椎(前後屈)

骨盤(インレットアウトレット)/股関節(ラウエン、軸位)

肩関節(正面,スカプラY)/肩鎖関節

手関節/肘関節/尺骨神経溝

大腿骨/膝関節(側面、スカイライン)

踵骨(軸位)/アントンセン

 

CTの基礎、造影理論など

検査前日の心得/造影CTの目的/ビグアナイド薬と乳酸アシドーシス

インジェクター/最適な造影剤量/注入速度とTDC

 

MRIの原理と注意点

プロトンの振る舞い/共鳴と励起

緩和/SE法の原理

TETRとコントラスト/GRE法の原理

傾斜磁場とは

 

放射線技師の転職

年収を上げる方法/うちの病院おかしい?/人間関係が辛い

転職エージェント体験談/天職の見つけ方/第二新卒/20代の転職

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

ABOUTこの記事をかいた人

カロン

大学卒業後、大学病院、透析クリニックを経て、民間の総合病院に勤務しています。 自身の経験から悩める新人放射線技師や放射線技師を目指す学生に発信していきたいと思っています。 ◇保持資格◇ ・診療放射線技師免許 ・第一種放射線取扱主任者試験合格 ・AHA BLSヘルスケアプロバイダーコース受講済み