【頭部CTで遭遇する謎の呪文】エピドラ、サブドラって何??その覚え方!

こんにちわ!放射線技師ブロガーのカロン@muscle_radioです

 

前回は被殻出血(脳内出血)について簡単にお話ししました

 

⇓前回の脳内出血の記事はこちら!⇓

[頭部CT]脳出血の原因て何?なんで状態が悪くなるか答えられる??

2018.01.14

 

 

脳内出血の場合、ほとんどが高血圧に原因があるものでしたね。今回は外傷が原因となって起こるものをみていきましょう。

 

 

外傷が原因となる出血といえば、そうです

 

硬膜下血腫、そして硬膜外血腫ですね

 

 

 

三日月?凸レンズ?

 

もう国家試験の勉強で何度も勉強したと思いますが、この二つの鑑別の仕方といえば

血種が三日月型か、凸レンズ型か?ということです。

 

 

ちなみに凸レンズというのは、

中央部が厚く、縁にいくほど薄くなるレンズ。遠視用眼鏡、老眼鏡などに用いられる     -三省堂大辞林-

 

 

だそうです。以下が凸レンズと凹レンズの説明です

 

こんな感じですね。理科の授業とかで出てくるみたいです。自分はもうそんな昔の記憶はありませんが…

一応、三日月の絵もかいておきます

 

 

これが三日月ですね

 

 

 

そして凸レンズ型の血種がこちらの硬膜外血腫ですね

 

 

 

 

 

 

 

 

三日月型の血種の硬膜外血腫はこちらです

 

 

 

 

 

 

 

覚え方は三日月(ミヅキ)が硬膜下血種(こうまくけっしゅ)

 

ってな感じにしとくと覚えやすいですよ!こじつけですが…

 

硬膜の下と外?ってどこなのさ!?

 

 

まあそれはそうと、硬膜下と硬膜外ってなんなの??どこのことなの?とお思いでしょう!

 

それではその解説をしていきたいと思います。

 

端的に言えば、硬膜外は硬膜の外側!つまり硬膜と頭蓋骨の間のことで、そこに血種ができたら、硬膜外血腫

 

そして、硬膜下は硬膜の下!こちらは硬膜とクモ膜の間のことです。そこに血種ができたら硬膜下血種です。

 

 

 

こんな感じで頭蓋骨と硬膜とクモ膜があります

 

もう少し拡大すると、こうです

 

なので、硬膜外血種では

 

 

 

 

こんな感じで血種ができます。硬膜は頭蓋骨としっかりくっついているので血種は縫合線を越えて広がりません。

縫合線のおかげで横に広がるには限界があるし、頭蓋骨は硬くてそちら側には広がれない。ということで血種は内側にプク~っとお餅のようにふくらんでいきます。

なので凸レンズ型になります。

 

 

そして硬膜下血腫はこんな感じです

 

 

このように血種がたまります。これだと縫合線から離れているので、血腫は縫合線とは関係なくガンガン広がっていけますね!

 

 

 

さあ、ここまで硬膜下硬膜外の場所を解説しました。ではこれらはどこが破綻して出血するのでしょうか。

 

一般的に硬膜外血腫のほうが、骨折を伴っていることが多いようです。そしてこの時、破綻しているのは中硬膜動脈という動脈です。中硬膜動脈がなんなのかはよくわかりませんし、覚える必要もないので軽く流してください。

 

そして硬膜下血腫のほうは架橋静脈というところからの出血が主なようです。架橋静脈とは、「脳の中を流れていた血液が、頭蓋骨の中にある太い血管へ戻ってゆく部分。脳と骨を橋渡しする血管」らしいです。

 

 

高齢になると、脳が委縮することによって脳と頭蓋骨の間がすきまが空き、血管が引き延ばされ、切れやすくなる?

とも考えられているようです。

 

 

また硬膜下血腫の方が大量の出血による脳への圧排が強いため、重症化するようです。

 

ちなみに前回紹介した視床出血では、視床を栄養する動脈から出血しています。こういう大きな動脈から分岐して、各部位を栄養する動脈を穿通動脈とか、穿通枝というみたいです。

 

 

 

エピドラ?サブドラ?

 

さあ、脳外科の先生の話を聞いてると、たまにエピドラ、とかサブドラなんていう言葉を耳にするかもしれません。または単にエピだけとか。

 

これは何のことかというと、もちろん硬膜下血腫と硬膜外血腫の英語名である、[subdural hematoma][epidural hematoma]のことから来ています。

 

duralが硬膜で、subが下、epiが外、を意味しているのですが、エピドラとサブドラ、どっちがどっちだかわかんなくなりますよね。

 

そこで考えたのですが、たとえばSAH。これはほとんどの人が問答無用で「くも膜下出血」と答えられるはずです。

 

SAHはsub arachnoid hemorrhage  の頭文字をとっているのですが、ここでも【くも膜の【を意味する【subがでてきますよね。

 

これで、

「あ~、Sは下なんだよな。じゃあ、サブドラはSがつくから硬膜下だ!」

 

 

という風に関連付けられると覚えられます!ってかそうやって他のことと関連付けないと覚えられません(笑)

 

というわけで今回は硬膜下血種と硬膜外血腫のお話でした。

 

外傷によるCTは当直中でも多いです。飲酒がらみのものがほとんどですが…

 

 

▼early CT signについて教えて!という方はコチラの記事をどうぞ!▼

[頭部CT]early CT sign とは何か?原因から画像を考えよう!

2018.08.20

 

⇓レントゲン撮影法のコツ、再撮影時に修正する時の考え方についてはコチラをどうぞ!⇓

今さら聞けない!?レントゲン撮影のコツと修正の考え方!

 

では!

 

 

 

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ABOUTこの記事をかいた人

カロン

大学卒業後、大学病院、透析クリニックを経て、民間の総合病院に勤務しています。 自身の経験から悩める新人放射線技師や放射線技師を目指す学生に発信していきたいと思っています。 ◇保持資格◇ ・診療放射線技師免許 ・第一種放射線取扱主任者試験合格 ・AHA BLSヘルスケアプロバイダーコース受講済み