わかりにくいMRIの原理を基礎から丁寧に学ぼう!vol.0

MRIの原理ってホントーーに難しいですよね。

 

よくわからないけど、とりあえずテストとか国家試験に出そうなとこだけ丸暗記しておこう。

という学生のかた。

 

新人の放射性技師の方でも、

(名前)
日常ではほとんどMRI担当しないし、ルーチンだけおぼえているからいいでしょ

と考えている方も多いと思います。

 

実際自分もそうでした。

 

学生時代はMRIの授業は、なんとか頑張って気合で理解しようとしましたが、結局よくわからないまま、とりあえず国家試験に頻出のところだけを覚えることにしていました。

 

国家試験からもうすぐ7年経つというのに、MRIの原理については目をつむっていたんですよね。。(-_-;)

 

 

カロンがMRIの原理を勉強しなおしたきっかけ

 

その当時は、初学者には難しい書籍ばかりで、なかなか自分がしっくり理解できるように解説している本には出あえませんでした。

だれもが、ネットで調べるであろう「MRI 原理 わかりやすい」で上位に出てくる、新潟大学歯学部さんのスライドを何回も見て
勉強したことは今でもよく覚えています。

 

▼新潟大学歯学部さんのスライドはこちら▼

15分でわかる(?)MRI

働きだしてからも普段はレントゲン撮影ばっかり、カテ業務がほとんどでMRIは全然担当しないし、たまに回ってきてもルーチンのものをやるだけ。という方もたくさんいらっしゃると思います。

カロン
それオレや!

 

わたし自身もこれまでMRIを専門でやってこなかったので、原理を理解するのは諦めていました。

 

そもそも、高校で物理を選択していなかったので、MRIの原理なんて自分には理解できないだろうと思ってしまっていました。

 

しかしある時、YouTubeでノーベル物理学賞解説講座という動画を発見しました。

この動画では、これまでの物理学賞の受賞の歴史をわかりやすく、そして面白く解説してくれています。

 

その中で自分がこれまで勉強してきた放射線系の発見や偉業もたくさんノーベル物理学賞を受賞していたと知り、どういう流れで発見していったのかを聞いていくうちに自分がこれまでなんとなく毛嫌いしていた物理学の分野が一気に身近に感じたのです。

 

そしてもちろん、MRIの原理にかかわる発見も何回かノーベル物理学賞を受賞しています。

これを見たとき
「こんなに先人たちが努力して礎を築いてくれたのに、それを理解せずに使っているなんてもったいない!」

と激しく後悔しました。

そして、ネットでMRIについて検索しても、いまだに難しい解説ばかりが多くあります。
なので、自分の記事で少しでも多くの方のMRIの理解の助けになればと思っています。

 

▼おススメのMRI学習本はこちら▼

学生でも、久しぶりに学び直そうという社会人のかたにもわかりやすい内容でめちゃくちゃおススメです。
ある程度理解している人には内容不足かもしれませんが、少しでも不安があるなら買いましょう。
値段も高くないので、買わない理由が見つからないレベルです。

 

MRI原理の基礎の基礎!なぜ人体内のプロトンが磁石として振る舞うのか?

 

プロトンを使って画像化するとは??

 

よくMRIの解説ではプロトンを使って画像化していると言われますが、どういうことなんでしょうか。

まず初めにご存知の通り、プロトンはものすごい速さで回転をしています。(→これをスピンと呼んでいる!そのままですね。)

 

そして、一秒間に何回転しているかを周波数であらわします。

(周波数って言葉からわけわからなくなりますよね。周波数は一秒間に何回転しているかってことだと考えてください!)

 

一般的なMRIである1.5テスラの磁石の中では一秒間にプロトンは6,390,000回の回転をしています。(639万回です!)

そして、それを63.9MHzと表しています。
(1メガ=10万なので)
この、コマのようにまわっていることを歳差運動と呼んでいます。

 

 

静磁場(MRI)の中に入るとプロトンは向きがそろう!

 

人体の中にはめちゃくちゃたくさんのプロトンがあります。

そして普通であれば、そのプロトンの向きはバラバラです。


向きがバラバラなので全体的には打ち消しあって磁石としての性質はありません。

 

このように反対の向きどうしで打ち消しあってゼロになります。

しかし、静磁場の中に入ると、このプロトンたちは一整に向きがそろいます。

静磁場と同じ方向に揃って、向きが下向きか上向きになります。

そして、上向きのスピンの数が下向きのスピンの数より少しだけ多いので、全体的に見ると、上向きの磁石になります。

※ちなみに、この「全体的に見て」ということを“巨視的”と呼んでいたりします。

 


こういうわけで、静磁場(MRI)の中に入ると、人体が巨大な一つの磁石とみなせるようになります。

(上向きの方が安定した状態なので、下向きよりも上向きのスピンの方が数が多くなります。)

下向きのスピンも存在すると弱くなりそうですよね。実際、1.5テスラの場合、10万個に一個の割合でしか上向きのスピンの数が下向きのスピンの数より多くなりません。

しかしながら、プロトンの数がめちゃくちゃ多い!

1㎤あたり10×10²³乗個のプロトンがあるので、上向きと下向きで打ち消しあっても、1㎤当たり18乗個の上向きのプロトンが存在します。(1.5テスラで10の18乗個のプロトン!1000兆の100倍!10京個のプロトンがある…しかも1㎤当たりの話!)


もし3テスラならその2倍の上向きのプロトンが存在して、その個数がそのまま信号の大きさになるので高磁場のMRIでは信号が大きくなります。

これだけあれば余裕で信号が出せそうですよね。

 

というわけで、今回はMRI原理の基礎の基礎。

MRIの中に入るとなぜ人体のプロトンが磁石として働くかを解説しました。

 

▼今回のまとめ▼

 

★次回はMRIの肝、共鳴→励起の流れを見ていきます★

MRIの原理を基礎から解説vol.1~共鳴と励起の流れを見てみよう!~

2019.12.11

 

 

レントゲン撮影のコツ・ポイント

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頸椎(側面)/頸椎(斜位)/頸椎(開口位)

腰椎(正則)/腰椎(斜位)/腰椎(前後屈)

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肩関節(正面,スカプラY)/肩鎖関節

手関節/肘関節/尺骨神経溝

大腿骨/膝関節(側面、スカイライン)

踵骨(軸位)/アントンセン

 

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検査前日の心得/造影CTの目的/ビグアナイド薬と乳酸アシドーシス

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MRIの原理と注意点

プロトンの振る舞い/共鳴と励起

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ABOUTこの記事をかいた人

カロン

大学卒業後、大学病院、透析クリニックを経て、民間の総合病院に勤務しています。 自身の経験から悩める新人放射線技師や放射線技師を目指す学生に発信していきたいと思っています。 ◇保持資格◇ ・診療放射線技師免許 ・第一種放射線取扱主任者試験合格 ・AHA BLSヘルスケアプロバイダーコース受講済み