みなさんは
テセウスの船
という言葉をご存知ですか。
2020年TBSにて同名のドラマが竹内涼真氏の主演で始まります。
テセウスの船はもともとマンガを原作とした作品で、おおまかなあらすじとしては
無差別毒殺事件の容疑者として逮捕された元警察官の父の冤罪を信じて事件の真相を追求していく
という内容です。
さて、この「テセウスの船」という言葉ですが、ふるくは哲学的な話。
パラドックスについて議論するためのものでした。
哲学的、パラドックスと聞くとなんだか難しそう、自分には関係のない話題だと思いたくなりますよね。
でも実際に聞いてみるとなかなか面白い(話は難しくない)話題なのでドラマが始まる前にぜひ知っておきましょう。
原作のテセウスの船はコチラ
パラドックス、哲学としての「テセウスの船」とは
アテネの若者たちとともに帰還したテセウスの船は、アテネの人々によって大切に保管されました。
テセウスの船は腐った部分があれば新しい木材と取り替えられながら、長い年月にわたり大切に保存されてきました。
さて、長い時代が経過した時、気が付けば当時の木材はすっかり取り替えられてしまい、現在のテセウスの船のどこにも当時の部品
は残っていません。
当時の木材はどこにもないし。
あの時の船がテセウスの船だったら、当時の木材はどこにも残ってないしこれはもう別の船だよね。
それに対し、ある人は
だって、これはテセウスの船として保管してきたし、そのために修理してきたんだから。
修理されたテセウスの船を見た人は『これはテセウスの船だ!』って言うでしょ。
ところで、実は取り替えられた方の朽ちた木材は別のところに保管してありました。
こうして、もう一つのテセウスの船を作り上げました。
こっちが本物のテセウスの船じゃないかしら。。。
当時使っていたテセウスの船の木材使ってるし。
これが本物よ。
修理されたほうはレプリカだわ。。
いやいや、これはテセウスの船とは呼べないでしょ。
だって、そっち(修理されてきた方)はずっとここにあったんじゃよ。
それがあるのに、今日突然、こっちが本物です。
じゃあおかしいでしょ。
もしこれ(復元したほう)がテセウスの船なら、昨日、一昨年、それ以前までここにあったこの船はいつから本物じゃなくなったんだい。
我々にとって「同じ」とは何なのか
なかなか面白いお話ですよね。
哲学の話ではこんな感じに意外と読みやすく、でも考えさせられる話題がたくさんあります。
さて、テセウスの船の話にもどりましょう。
この問題では、何をもって本物とするか、どういう条件なら「同じ」と人々は認識するかについて考えます。
もちろん、正解はありません。
考えることが大切なのです。
では、「同じ」という意味について考えてみましょう。
わたしが日ごろおススメしているこのテキスト。
この画面を書店員さんに見せて、
と言えば、ふつうは本棚から探してくれますよね。
もし書店員さんが
と言ってきたら
となりますね。
では次に、わたしのファンが
「この本にカロンさんのサインしてもらいました。これは世界にひとつしかないです!☆(ゝω・)vキャピ」
と貼った写真のtweetを見せて
と言えば、書店員さんは
というかもしれませんし、店員さんの気持ちもなんとなくわかります。
「同じ」という言葉でも文脈によって違うことが感覚的にわかるはずです。
修理してきた方がテセウスの船だと主張する意見
機能的な面から言えば、修理してきた方が「テセウスの船」と言えるかもしれません。
復元した方はすぐに沈んでしまいます。
また、修理してきた方は帰還してからずっとアテネにあります。
長い年月とともにそこにあるのは誰も疑えない客観的な事実です。
そしてその歴史を讃えるために多くの職人たちによって守られてきました。
復元されたほうがテセウスの船だと主張する意見
では例えば、考古学者の人がテセウスの船に残された痕跡から当時の歴史的な背景を調べようとした時。
修理してきた方の船は全く意味をもちません。
復元した方のテセウスの船を使って調査するのが普通です。
そういった意味ではコチラの方が本物の「テセウスの船」なのです。
さて、当時のテセウスの船の乗組員が亡霊として、当時からずっといままでの流れを見ていたらどう思うのでしょうか。
昨日まで
今日
おれの足跡もこれには刻まれているし、こっちが本物のテセウスの船なの、、か??
みなさんはどう考えますか??
ほかにも色々な思考実験はあります。
(ヾノ・∀・`)ムリムリ